はじめに
おつかれさまです。tyamonです。
プレゼン資料づくり、「中身」より「見た目の調整」に時間を溶かしていませんか?
フォントを揃えて、色を合わせて、図の位置を微調整して…。気づいたら「何を伝えたいのか」を考える前に、レイアウトで消耗している。あるあるですよね。
AWSが公開している Spec-Driven Presentation Maker は、この課題に「先に設計、あとで構築」という考え方で切り込むOSSです。しかもKiroから直接使えます。
この記事では、これをKiroに Power として導入して、チャットから「〜のスライド作って」と頼むだけで資料ができる状態にするまでの手順を紹介します。
結論:AWSアカウントは不要。uv と LibreOffice(+poppler)を入れて、リポジトリをcloneし、KiroにPowerとして読み込ませるだけで、チャットからプレゼン資料が作れるようになる。
TL;DR
- Spec-Driven Presentation Maker = 「何を伝えるか」を先に設計し、スライド構築をAIに任せるOSS(AWS公開)
- Kiroには Power(Agent Plugins) として導入できる → AWSアカウント不要でローカル完結
- 必要なもの:
uv/LibreOffice/poppler(プレビュー用)と、リポジトリのclone - 導入後は
/sdpm-specや「〜のスライドを作って」でワークフローが起動する
Spec-Driven Presentation Maker とは?
ひとことで言うと、「設計」と「構築」を分けてプレゼン資料を作るツールです。
ソフトウェア開発では、コードを書く前に要件定義や設計をしますよね。あの考え方(仕様駆動=Spec-Driven)を資料作成に持ち込んだものです。
具体的には、AIとの対話で次の3つを先に固めます。
- ブリーフィング — 聞き手は誰か、何を伝えたいか、どうなってほしいか
- アウトライン — 「1スライド1メッセージ」で、各スライドが答える問いと答えを定義
- アートディレクション — 配色・フォント・ビジュアルの方向性
この設計書ができてから、AIがテンプレートに沿ってスライドを構築します。「見た目」から入らず「中身」から入るので、伝わる資料になりやすい、というわけです。
| 従来の資料作成 | 仕様駆動プレゼンテーション | |
|---|---|---|
| 起点 | 白紙のスライド | ソース資料と要件 |
| 設計 | 作りながら考える | 先に論理構造を設計書として定義 |
| 構築 | 手作業でレイアウト | AIがテンプレートに準拠して生成 |
| 品質 | 属人的 | 設計書に基づくレビュー可能なプロセス |
なぜKiroから使えるの?
Spec-Driven Presentation Maker は、複数の使い方が用意されています。ブラウザのWeb UI(AWSフルスタックデプロイ)から使うこともできますが、開発者向けには「普段使っているAIコーディングエージェントから直接使う」経路があります。
その中身は MCP(Model Context Protocol)サーバーです。Kiroは Powers という仕組みでMCPサーバー+スキル+知識をまとめて導入できるので、リポジトリをそのままPowerとして読み込ませればチャットから使えるようになります。
しかもこの構成なら AWSアカウントは不要。すべてローカルで動きます(AWSデプロイは、チーム共有やWeb UIが欲しくなった段階で選べばOK)。
導入手順
環境はWindows(PowerShell)を前提にしています。macOS/Linuxでもツールの入れ方が違うだけで流れは同じです。
ステップ0:前提ツールを入れる
必要なのは次の3つです。
| ツール | 用途 |
|---|---|
uv | Pythonパッケージ管理(必須) |
LibreOffice | スライドのPNGプレビュー生成 |
poppler | PDF→画像変換(プレビュー) |
Windowsなら winget で一気に入ります。
winget install --id astral-sh.uv -e
winget install --id TheDocumentFoundation.LibreOffice -e
winget install --id oschwartz10612.Poppler -e
uvが無いと動きません。LibreOfficeとpopplerは「生成したスライドを画像でプレビューする」ために使います。プレビュー不要でPPTX生成だけならuvだけでも動きますが、レビューしながら作りたいので入れておくのがおすすめです。
インストール後、PATHを反映させるため一度ターミナル(またはKiro)を再起動しておくと確実です。
ステップ1:リポジトリをcloneする
好きな作業フォルダにcloneします。私は開発用フォルダに置きました。
git clone https://github.com/aws-samples/sample-spec-driven-presentation-maker.git
⚠️ Google Driveなどの同期フォルダに置く場合の注意:後述するようにKiroが依存パッケージ用のvenvを別管理するため、cloneしたフォルダ内に大量のPythonファイルが増えることがあります。同期負荷が気になる場合は、同期対象外のパスに置くのが無難です。
cloneしたフォルダの直下に plugin.json と mcp.json があります。これが「Agent Plugins パッケージ」=Kiroが読めるPowerの形式です。
ステップ2:KiroにPowerとして導入する
ここがメインです。Kiro IDEのUIから操作します。
- Powersパネルを開く(稲妻マーク付きのアイコン)
- Add Custom Power を選ぶ
- Import power from a folder を選ぶ
- clone した リポジトリのルートフォルダ(
plugin.jsonがあるフォルダ)を選択 - Install をクリック
これだけです。
Agent Plugins形式のPowerでは、MCPサーバーはKiroが内部管理します。つまり ~/.kiro/settings/mcp.json を手で編集する必要はありません。依存パッケージ用のvenvもKiroがPowerのデータ領域に自動で作ってくれます。
Kiro CLI派の人向け:CLIの場合はリポジトリで
make install-kiroを実行する経路が用意されています。ただしPowerとCLIの配線は同じパッケージへの2経路なので、同時に有効にしないのが原則です。IDEでPowerとして使うなら、この記事の手順だけでOKです。
ステップ3:使ってみる
Kiroのチャットで、こんなふうに頼むだけです。
新製品の社内説明会向けに、10枚くらいのスライドを作って
すると、聞き手や目的のヒアリング → ブリーフィング → アウトライン → アートディレクション → スライド構築、という流れで進みます。
作りたいモードを明示的に選ぶこともできます。
| コマンド | 使い方 |
|---|---|
/sdpm-spec | 対話しながら1ステップずつ承認して作る(じっくり型) |
/sdpm-vibe | 手元の素材からサクッと作る(スピード型) |
/sdpm-style | 再利用できるスタイルガイドを作る |
/sdpm-translate | 既存デッキを別言語に翻訳する |
ちゃんと動くか確認する(動作確認)
Power導入前でも、リポジトリ内のエンジンを直接叩いて動作確認できます。私は次の流れで確認しました。
# MCPサーバーの依存関係を解決(servers/local 配下)
uv sync
# テンプレート一覧(builtin の dark / light が出ればOK)
uv run python scripts/pptx_builder.py list-templates
# 雛形を作って PPTX 生成 → PNGプレビュー生成まで確認
uv run python scripts/pptx_builder.py init test-deck -o <出力先>
uv run python scripts/pptx_builder.py generate <deck.json> -o out.pptx
uv run python scripts/pptx_builder.py preview <deck.json> -o preview
out.pptx と preview/page01-*.png が生成されれば、PPTX生成〜LibreOfficeによるPNGプレビューまで一通り通っている証拠です。私の環境ではここまで問題なく生成できました。
ハマったポイント
uv を入れた直後はPATHが通っていない
winget install した直後の同じターミナルだと、uv コマンドが見つからないことがあります。ターミナル(またはKiro自体)を再起動すればPATHが反映されます。
LibreOfficeはPATHに無くても大丈夫
Windowsだと soffice はPATHに登録されないことが多いですが、Spec-Driven Presentation Maker側が C:\Program Files\LibreOffice\program\soffice.exe を自動で見つけてくれます。標準の場所にインストールしておけば、追加設定は不要でした。
同期フォルダに置くと重くなる
依存パッケージ(venv)は数十MB〜になります。Google Driveなどの同期フォルダにcloneすると同期対象になって重くなりがち。気になる人は同期対象外のパスに置くか、動作確認で作った .venv は消しておく(Power導入時はKiroが別管理のvenvを作ります)のがおすすめです。
結果・学び
- 「白紙のスライドと向き合う時間」が消えたのが一番大きい。何を伝えるかの対話から始まるので、手が止まらない
- 「1スライド1メッセージ」を強制されるので、構成がブレにくい
- AWSアカウント無しでローカル完結できるので、まず個人で試して、良ければチーム展開という段階導入がやりやすい
- Kiroの Powers = MCPサーバー+スキルをまとめて配布・導入できる箱 という理解が腹落ちした。OSSをそのまま「機能」としてKiroに足せるのは強い
まとめ
- Spec-Driven Presentation Maker は「設計を先に、構築はAIに」でプレゼン資料を作るOSS
- KiroにはPowerとして導入でき、AWSアカウント不要でローカル完結
- 準備は
uv/LibreOffice/popplerを入れて、リポジトリをclone - 導入は Powersパネル → Add Custom Power → Import power from a folder → ルートフォルダを選んでInstall
- あとはチャットで「〜のスライド作って」または
/sdpm-specなどで起動 - 見た目より中身から入りたい人は、一度試す価値あり

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